小学校受験って何? 学費は? 受験するメリットは?

私立・国立小学校という選択肢を視野に

就学年齢に達した子どもの多くは公立小学校に入学します。公立小学校では学区制が決められていますが、これに対して、居住区域などの制限はありますが、原則入学先を自由に選べるのが私立と国立の小学校です。
ただし誰でも入学できる訳ではなく書類審査、ペーパーテストや面接などの入学試験があります。これが一般的に言われている「小学校受験」です。


小学校受験を選ばれるご家庭の理由としては大きく分けて3つに分かれます。


1つ目は学校の教育環境の素晴らしさ・環境の良さに魅力を感じた。
2つ目は学費が公立と同じで良い教育が受けられる国立小学校に通わせたいと思った。
3つ目は近所の公立小学校の様子を聞いて、公立小学校には行かせたくないというご家庭です。


特に3つ目は私立の学校を選択する際に意外と挙がる声です。



「見える学費」と「見えない学費」って?

高い教育を受けるには学費も高額では?と思う方も多いでしょう。結論から言いますとお金は確かにかかります。

入学前には小学校受験に合格するための幼児教室代(教室・クラスによって異なります)が入会金5万円~9万円、授業料が月額3万円前後(年長、週1回)必要になります。


学校に入学が決まると、私立小学校は初年度納入金が100万円前後、2年目以降は70万円~100万円ほどかかります。
これ以外にも入学後には制服代、遠足・旅行などの行事参加費など「見えない学費」もあります。「見えない学費」は学校に直接確認しておく必要があります。



理想的な教育環境を選べる

私立・国立の小学校の最大のメリットは「家庭にとって、理想的な教育環境を手に入れられる」という点です。
例えば公立小学校ではクラス担任がすべての教科を教えますが、私立小学校では算数は算数の専門家が、英語はネイティブの先生が教えてくれるなど高い教育を受けることができます。
またどの学校も独自の教育方針を打ち出していますが、大切なのは学力面だけでなく、「心の教育」を行っている点です

小学校の6年間は人間形成の基盤を作るうえでとても大切な時期です。公立でももちろんできないわけではありませんが、私立校の場合、より力を入れています。それ以外にも学校ごとにそれぞれ特徴がありますので、事前にしっかり調べておくといいでしょう。



公立・私立・国立小学校の特徴と選び方

公立小学校 私立小学校   国立小学校
学校数     2万558校    222校     72校
学費※1  0円(※授業料)   100万~150万円

    10万~25万円

給食  有   有(学校による)     有
入学試験  無   有      有
入学時抽選  無   無(学校による)     有
倍率  無   2~10倍前後     3~60倍
制服  有(学校による)   有(学校による)     有(学校による)


※1 初年度合計金額。諸費用は含めていません。


まず表から見られる最大の違いは学費です。公立小学校は義務教育なので、授業料は無料です。しかし給食費や学校外活動費などがかかってきますので、お金がかからないわけではありません。対して私立や国立は公立と比べ、学費面でみるとかかってしまいます。

また公立小学校は学区制をとっているのが私立と国立との違いです。これは学区内に住む児童・生徒を就学させる制度です。公立小学校以外を選択する際に、自分の通う公立小学校の評判が良くないため、小学校受験を選択するというご家庭は意外と多くあります。

しかし誤解されがちですが、私立・国立の小学校も自分の通いたい学校ならどこでも通えるわけではなく、通学距離制限を設けている学校が多くあります。例えばある学校では「東京都内の指定された区域に保護者と同居し、通学時間が40分以内であること」としています。通学手段を何にするかによりますが、あまりにも距離が離れていると、保護者と子どもにとっても負担になってしまいますので、よく調べておくといいでしょう。



それぞれの学校の特徴とメリットは?

私立小学校
「自分で選んだ環境で、高い教育を受けられる」という点です。私立では英語・算数・国語などそれぞれ専門の先生が授業を教える、「教科担任制」をとっているケースがあります。これが公立小学校との授業の大きな違いです。確かに学費という点で見ると他と比べ高いですが、将来の学力の土台を早期につくることができます。



国立小学校
国立小学校は学費面や教育面で高い人気があります。倍率が高い所では60倍となっており、競争率が高くなっています。そのため国立小学校(一部除く)では試験とは別に「抽選」があります。通常第三次まで試験がある場合、第一次と第三次に行われます。第一次で残念ながら抽選で選ばれなかった場合は次に進むことができないという厳しい現実があります。それでもなお、強く入学を希望する理由は、国立小学校は教育理論や教育手法を研究する「教育研究校」に位置づけられており、大学や教育学部の先生の研究成果としての充実した授業を受けられるからです。



公立小学校
公立小学校のメリットは通いやすさと学費の安さです。特に学区制をとっていますので、徒歩で通うことができ保護者が送り迎えをするということはないので負担は少なくなっています。また授業料は無料ですので、中学受験をさせたいと思った時にも、塾にお金をかけることができます。



入学後の親の関わり方はどのくらいある?

公立・私立・国立小学校も入学後は保護者の出番は多くあります。もちろん学校により差はありますが、学校行事への参加は義務づけられている所もあります。

とくに国立小学校は保護者の協力を得て学校運営を組み立てています。学校運営や行事に関わる役員を、子どもの在学中に一度は引き受けなければなりません。学期末の大掃除や遠足、文化祭、運動会などの運営も保護者の協力も求められます。そのため時間が取れるご家庭でないとなかなか難しい面も出てきます。

しかしその分自分の通っている学校の雰囲気やどんな顔で通っているのかを見ることができます。そういう面ではより子どもに寄り添うことができるととらえることもできます。



ココがポイント!


小学校を選ぶうえで大切なことは一つです。それは学校の特徴を十分に理解したうえで進学先を決めるということです。またご家庭の状況をきちんと把握しておくことも非常に重要です。小学校は入学後も入学前も保護者の方の存在は必要不可欠なものです。自分の子どもを長期的に見てどのようにしていきたいかを考えておく必要があります。



小学校受験の試験の種類

試験の種類は、大きく分けると「ペーパーテスト」「行動観察」「面接」の3種類に分かれます。学校によって試験の組み合わせが異なり、試験時間は2・3時間で、2日間に分けて行われる場合もありますので、事前に確認しておく必要があります。


国立小学校の場合は、これらに抽選が加わったり、試験に入る前段階として願書提出がありますが、ここでは具体的に先の3種類の試験について見ていきます。



ペーパーテスト
話の記憶、数量、常識、言語、推理・思考、観察力、記憶、構成などが多く出題されます。多くの学校が文字や数字を使用せず、録音した音声や口頭での指示を聞き取り、絵を見て解答する形式です。例えば、のこぎり・ほうき・シャベルの絵の中から『お話が上手な道具はどれでしょうか?』といった問題などが出題されます。



行動観察
食事をしたり着替えをしたりする生活習慣を見られるパターンと、運動や制作など子ども同士のグループ行動の中で発想力を見られるパターンがあります。4・5人のグループに分かれ、『今日はピクニックごっこをするので、ピクニックに持っていくお弁当を作りましょう』といった問題が出されます。



面接
親子面接、保護者面接などいくつかのパターンがあります。時間は5~15分程と短く、母・父・子で質問内容が異なります。親には、『どんなことに気をつけて子育てをされていますか?』などが聞かれます。



試験ごとの対策はどうすればいいの?

ペーパーテスト
小学校受験で行われているテストは、暗記問題ではなく実体験や遊びから身につく問題が多く出題されます。出題範囲が広く、経験がないと解答するのは難しいものが多いので、ご家庭で練習する必要があります。実際の試験はとても時間が短いので、普段から時間を意識させておくといいでしょう。



行動観察
グループ遊び・運動・制作を行います。対策としては普段から集団の中に子どもを置いて、他人と関わりを持たせてやり取りをさせたり、様々な場所に連れていき、視野を広く持たせるといったことの積み重ねが重要になります。課題をきちんとできるようにするのはもちろん、応用力なども身につけておくといいでしょう。



面接
まずはしっかりしたマナーを身につける必要があります。挨拶や服装、入退室時の動作や言葉遣いを普段から意識しておくといいでしょう。また質問内容として、子どもの教育方針はもちろん、思わぬ質問をされる可能性がありますので、マニュアル通りの対策だけではなく、家族で会話を交わしコミュニケーションをとっておくといいでしょう。



入学試験に対する親の心構えは?

試験対策の前に、見る力、聞く力、話す力、考える力、行う力をバランスよく備えている、発想力豊かな子どもを育てようという考え方が必要です。

また学校側も、合格後は子どもを預かる立場になりますので、ご家庭の環境は非常に気になります。

受験対策というとどうしてもマニュアルに頼りがちですが、子どもの成長には個人差があります。無理に知識を詰め込むのではなく、子どもに合った形を常にお母さまが心がけてください。



ココがポイント!


小学校受験の試験は先にも述べた通り、解き方を覚えているのかを問うものではありません。試験に合格するためだけに身につけた力は、学校側にもすぐに見抜かれてしまいます。
試験対策は、子どもの人間形成の基盤を作る準備期間ととらえることもできます。保護者が子どもと真剣に向き合い、一緒に成長するという気持ちが何よりも大切です。



 小学校受験は「親の受験」?その心構えと対策は?

小学校受験では保護者も試験を受ける?

小学校受験は中学受験や大学受験と違い、保護者の出番が非常に多くなります。直接的に試験に関わるのは「願書作成時」と「面接」の時です。しかし、小学校受験ではそれ以外にも保護者の存在が非常に重要になってきます。まずは年間のスケジュールを見ていきましょう。


下図を見てみると、小学校受験は早い時期から準備が始まることが分かります。とくに保護者の方が最初に重視したいのは「情報収集」と「志望校決定」です。まだお子さまは小さいので、自分で学校を選ぶのは当たり前ですが、難しいですよね。そのため、保護者がきちんと選ぶ必要があります。


この時に大切にしたいのが「確かな情報収集」と「総合的に志望校を決定すること」です。学校側がどのような試験を実施しているのかを学校サイトなどで確認し、偏差値だけでなく、学費面・教育方針・環境・お子さまとの相性をきちんと考慮し選ぶ必要があります。

試験内容は学校ごとに異なりますので、後々対策に困らないようしっかり選んでおきましょう。志望校決定後はお子さまと一緒に学校説明会に参加し、学校サイトでは分からない部分を見てくるといいでしょう。


時期 内容
年少11月   受験準備開始、情報収集スタート
年中11月   志望校を絞る(必要であれば幼児教室探しも開始)
年長5月   願書配布開始(多いのは9月)
5~6月   学校説明会シーズン(願書は学校説明会時に貰えることが多い)
8月   願書用写真、試験用の服や体操着などを準備
9月   運動会などの行事と学校説明会シーズン
10月   願書締め切り
  面接開始(10月半ばから11月上旬まで)
11月   試験開始(1日~中旬)
  合格発表(3日~中旬)
  入学手続き



試験は学校との確認の場

小学校受験では、まず試験前の第一段階として「願書の提出」があります。そして試験当日には、母・父・子が面接を受けます。これは小学校受験の大きな特徴といえます。このあたりに関しては数多くのテクニック本がありますが、今回は心構えについてみていきます。


願書については、まずは先生に最後まで読んでもらえるように心掛けましょう。誤字・脱字はもちろん、簡潔に分かりやすく、なぜこの学校を選び、家庭の教育方針はどのようなものなのかをきちんと書きましょう。大切なことは就職活動同様、マニュアルに頼らず自分たちの言葉で伝えることです。


面接はどのご家庭も事前に練習してのぞむと思いますが、試験当日不意な質問をされてもいいように、普段から家庭での会話を心掛けておくといいでしょう。面接は試験の一部ですが、お互いの意思確認の場でもあります。学校側は「本当に私たちの学校に来たいのか?」「願書に書いてあったことは本心なのか?」を見たいのです。つまり、「心からわが子をこの学校に通わせたい!」という思いを伝えることができれば、合格への道が広がる可能性があります。



合格には父親の存在がカギになる

  

小学校受験のもう一つの特徴として挙げられることに、父親が深く関わる点があります。面接当日はもちろん質問されますし、日常生活の子どもとの接し方が重要になってきます。例えば、体験として虫を捕ったり、キャッチボールをしたりすることは父親の方が向いています。小学校受験では日常の何気ない経験が重要になってきますので、このあたりをしっかり意識しておく必要があります。


中学受験ではどちらかというと母親の方が密接に子どもをサポートしますが、小学校受験においてはどちらかに偏ることなく接することが重要になってきます。また、これが小学校受験における魅力でもあります。例え志望校に合格しなくとも、子どもの将来をしっかり考え行動に移したことは絶対に無駄になりません。


ココがポイント!


小学校受験も中学受験と同様に、実際に体験して得たことが受験時には役立ちます。例えば、森へ行って虫を観察した経験などが重要になってきます。しかし実際に体験するのはまだ一人ですることができません。その時に保護者が一緒に色々な所に行き、学んでいくことが合格のカギにもつながります。保護者のどちらかに偏りなく、家族一丸となることが大切になってくるのではないでしょうか。




※以上はインターエデュさんに掲載されていた記事です。

27年5月