名門校に子を通わせるサラリーマン家庭の悩み 保護者間に格差


 子どもの教育に注力すると、それにともなう投資も大きくなる。さらに高学歴やグローバル教育を目指すと教育費自体がかかるのはもちろんだが、それに付随する出費もある。名門校入学後の“ソサエティーへの参加コスト”も財布に重くのしかかる。

 娘を名門小学校に通わせている会社員の女性(46)は、学校の保護者会に参加したとき、なんだか自分が「みすぼらしい」ような気がした。ほかのお母さんたちの着ている服やバッグが見るからに違うのだ。

「お母さんたちは色違いや素材違いのケリーバッグをいろいろ持っていて。その話題で盛り上がっていましたが、私にはちんぷんかんぷんで…」

 娘が肩身の狭い思いをしてはいけない、と女性は奮発して自分の学校用の服とバッグを新調した。

「ケリーは金額的に無理だなと。結果、イタリアの有名ブランドのバッグに。それでも20万円くらいはしました」

 ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、多くの家計相談を受けてきた。「学校によって違いはあるが」と前置きしたうえで、「名門校の母親が保護者会のたびに服を上から下まで2万~3万円でレンタルしていくケースは珍しくない」と言う。「プラスでかかるお金はパートで稼げば」と発想してしまうが、そうもいかない。先の女性は学校のママ友に、なにげなく言われた言葉が今も忘れられない。

「『“共稼ぎ”なんですって?』って聞かれたんです。共働きではなく。『あなたも働かないとやっていけないの。大変ね』というニュアンスを感じました」

 母親たちの多くは専業主婦。夫は医師や事業経営者が多く、お金も時間も十分ある。

「名門校に子どもを通わせているサラリーマン家庭のお母さんが、アルバイトを探すときに、ママ友たちに働いていることがばれないよう、いつでも電話に出られる仕事にしたなんて話も聞きます」(畠中さん)

AERA 2015年6月8日号より抜粋