子供を小学校から私立一貫校に通わせるデメリットとは

 

 女優の芦田愛菜(12)が、都内の名門中学・慶応義塾中等部に入学したニュースは大きな話題を集めた。このまま順調にいけば、彼女は中学~高校~大学と慶應に通う可能性もあるが、慶應には小学校(幼稚舎や横浜初等部)も存在する。

「体系的なカリキュラムにより、優れた教育が受けられる」「エスカーレーター式に大学に入れる」「多感な時期を共に過ごすことで、一生の友達に出会える」など、私立の一貫校のメリットはいくつもあるが、果たして小学校から私立に通わせる必要はあるのだろうか? 子どもを都内の少中高一貫の私立校に通わせた男性・Aさん(70代)は、金銭面の負担の大きさを語る。

「お金はとにかくかかります。初年度納入金は100万円以上でしたし、それ以降も授業料だけで年間80万円近くかかりました。これ以外にも制服やランドセルはもちろんのこと、制帽、革靴、夏服、制服の下に着るシャツ、体操着、体育の授業で被る帽子、校内着、上履き、水泳教室用のカバン、図工の授業で使う用具一式が入った図工カバン、音楽の授業で使う笛や鍵盤ハーモニカ……とにかくすべてのものにおいて指定のものを買わされます。これがいちいち高いんです。

 さらに息子の在学時には『創立100周年』で校舎の建て替えがあったため、寄付のお願いがありました。『お願い』と言いながら『1口○万円。最低○口以上』と書かれていて、唖然としました」

 横浜市青葉区に2013年に誕生した慶應義塾横浜初等部の場合、入学金や授業料、施設設備日などを合計した初年度の学費は186万円(2016年度実績)。こうなると、かなりの収入がなければ子どもを通わせるのは厳しいが、それ以外にも考えなくてはならない要素があるようだ。自身が小中高一貫の私立校に通った40代の男性・Bさんはこう語る。

「まず思い浮かぶのは、『地元の友達がいない』ということです。学校では友達がいても、その友達と家が近いとは限らないので、家に帰ってから遊ぶ友達はいません。成人式に行っても知り合いはまったくいないので、面白くも何ともありませんでした」

 

 

小学校でいじめに遭うと「12年間地獄が続く」

 同級生の中には、小学生ながら1時間半以上かけて通学していた子もいたのだとか。さらにBさんはこう語る。

「親の年収や職業にバラつきが少なく、狭い環境で長い時間を一緒に過ごすので、ものすごく画一的な価値観にしか接しないまま社会に出てしまう。そして社会に出ると、“世の現実”とのギャップに戸惑ってしまいます。しかも中学や高校に入る際に“ゼロから友達関係を築く”ということをしていないから、友達を作るのがすごくヘタクソなんです」

 それなら、社会人になっても小中高時代の友達と仲良くしていれば良さそうなものだが、そう単純なものでもないようだ。Bさん続ける。

「小学校時代、クラスの中で“イケてた子”はいいでしょうけど、いじめられたり、いじられキャラだったりする子は必ずいるわけで、そういった子にとって小中高の12年間は地獄ですよ。生徒が入れ替わらないので、1度でもそういう立場になっちゃうと、もう“逆転”は無理です。卒業するまでスクールカーストの下の立場に甘んじることになります。

 あと小学校の頃ってオシッコを漏らしたり、ウンコを漏らしたりとかするじゃないですか。それが極端な話、一生付きまとうんですよ。ボクの学年でも、パンツにウンコがついてた子に『ウンP』、オシッコを漏らした子に『ジョバー』ってアダ名が付けられて、高校を卒業するまで一部のヤツからずっとそのアダ名で呼ばれてました」

 そもそも子どもが小学校に通う時期に、年間数十万円の学費を払えるのはかなり限られた層だが、私立小学校受験を考えている人は、金銭面以外のリスクがあることを頭の片隅に入れておいても良さそうだ。

 

 

 

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