「早生まれ」は損をする!? 成長の速度は人それぞれ

 

 「早生まれだから損をする」ということを聞いて、「え?」と思ったことはありませんか?今より少し前の時代、1月から3月の早生まれは4月から12月に生まれた子どもに比べ体力や成長が遅く、損をしてしまうという考え方が一般的でした。しかし、「損」という考え方はいまや否定されています。もしそんなことを言われても「古いなあ…」と心の中でつぶやいて、あまり参考にする必要はありません。

 


1学年の中では遅く生まれているのに「早生まれ」

 

 日本では「年齢」の他に「学年」という歳の数え方が重要視されています。それは、幼稚園や学校などでは「学年」で進級するためです。学年においてはその年の4月から12月に生まれた子どもと、その次の年の1月から3月に生まれた子どもが「同級生」となります。1月から3月生まれの人は、同じ年の子どもに比べ早く進級することから、「早生まれ」という言葉が使われているようです。

同級生の中で比較すれば、早生まれの子どもは遅く生まれたということになります。その分成長も比例して遅くなり、不利な部分があるのではないかという考え方により「損をする」という言葉に繋がっているようです。

 

 


成長の速度は人それぞれ。身長や体重でも大きな差はない

 

 最近は、何歳になったらおむつをはずすべき、何歳になったら卒乳・断乳すべき、といった、タイミングを区切っての「~すべき」はナンセンスだという考えに落ち着いています。以前は現在ほど個々の成長の速さの違いを重視しておらず、成長の目安に足並みを揃えることがよい育児だと評価される傾向がありました。しかし、実際に育児をしてみるとわかるように、成長の速さは本当に子どもによってそれぞれ、同性であろうと同じ誕生日であろうと、きょうだいであろうと、同じように育つことはありません。

また、「何歳までには何ができるべき」「どのくらい成長しているのがよい」といった科学的根拠のない指標のために、親子で無理をするのは、育児において逆によくないことだということも理解されてきました。 実際、早生まれでも4月生まれの子に負けないくらい大きな子どももいます。身長や体重のデータを取ってみても、早生まれとそうでない子に大きな差はないのです。

もちろん、赤ちゃんに隠れた病気がないか、育児環境に大きな問題がないかということを発見するため、ある程度指標に照らし合わせた成長の確認は必要です。ただし、そこに目立った問題がなければ、みんなそれぞれのペースがあるのが当たり前のこと。不利も有利もないのです。


月齢に関係なく必要なフォローが必要なことも

 

 あまり早生まれを気にしすぎてしまうと、保護者の頭も「早生まれだから」という言葉でいっぱいになってしまいます。もしかして、早生まれだからという理由には一切関係のない問題があったとき、それを見逃してしまうこともあるかもしれません。

当然のことですが、誕生日を変えることはできません。早生まれということを悔やんでも仕方がありません。そのときそのときでわが子に必要なフォローはどんなことなのか、月齢に関係なく考えるようにしましょう。
他の子どもと比較するよりも、いまわが子がどんなことを大変だと思っているのか、いま何ができなくて困っているのか、将来どうすればできるようになるのか…そういったことを知ろうという気持ちで子どもに関わることこそ、とても大切なことなのです。

 

ベネッセ