早稲田大の没落、慶應「優位」鮮明に

 

 

早稲田大の没落、慶應「優位」鮮明に 偏差値・難関資格・昇進…受験生も慶應志向

 

 年が改まり、いよいよ大学受験シーズンが本格化する。1月中旬のセンター試験を皮切りに有力私立大学の入試が西から始まり、東上していく。そして国公立大の二次試験でフィナーレを迎える。例年、日程として私大の取りを務めるのは早稲田大学と慶應義塾大学だ。両校に照準を合わせて、最後の仕上げや追い込みに余念のない受験生も多いのだろう。

 

 私学の双璧というイメージが強く、何かとライバル視されがちな早慶だが、実は両校の間に格差が生まれつつあるようだ。

 

 いずれも数多くの受験生の憧れの対象になるだけの歴史と伝統、実力、ブランドイメージを備えている。ほとんどの日本人が創立者の名前を認知しているのは両校くらいだろう。稲穂とペンの校章もまた然り。しかし、現状をより厳密に見ていくと、「同列にある」「拮抗する」と表すのは正確ではないことがわかる。

 たとえば入学時の難易度。「難易度は早慶ではなく、慶早が正しい」(予備校講師)との指摘がある。実際に直近の大手予備校の学部系統別の私大難易度データを見ても、慶應大がほぼすべてで偏差値トップの座を占めており、早稲田大は二番手に甘んじているものが多い。受験科目数の違い(文系の場合、慶應大は2教科プラス小論文、早稲田大は3教科)から単純に比較はできない面はあるが、10年前のデータ(2006年版代ゼミ難易ランキング)では文系の主要学部(法・経済・文)ではまったくの同レベルであったのだから、慶應大が押し気味であることは明らかなのだろう。

 

 さらに大学の社会での実力、評価を測る難関資格試験の最近の結果を見ると、慶應大の優位がわかる。一般に「難関試験御三家」とも呼ばれるのが国家公務員総合職(旧1種【編注:1の正式名称はローマ数字】)、司法試験、公認会計士試験。両校の過去5年の実績を見ると国家公務員総合職を除けば、慶應大は早稲田大をしのぎ、早慶戦になぞらえれば2勝1敗だ。

 

 内容も慶應大の充実ぶりがみてとれる。早稲田大は国総でこそ勝っているものの、最高位は3位(1位:東大、2位:京大)に留まる。キャリア官僚は東大、京大など旧帝大出身者が圧倒的な多数を占めており、省庁に採用されても私大出身者は昇進の面で何かと割を食いやすい。いわば報われにくい試験なのである。

 司法試験の合格者数は早慶拮抗しているが、受験者の平均合格率は累計で慶應大の49%に対して早稲田大は38%。慶應大は受験者のほぼ半分が合格するわけで、東大、京大に次ぐ高水準だ。このほか民間企業での昇進度合いを示す指標になる上場企業の社長数・役員数でも、いずれも慶應大がトップ、早稲田大は2位。学生数という分母を考慮しても早稲田大は4万3286人、慶應大は2万8963人(2014年5月時点)なのだから、慶應大出身者の圧倒的な存在感がわかる。

 

 

●時代への適応力に差

 

 大学の運営面に関しても、慶應大が時代に即した素早い動きを見せているのに対して早稲田大は停滞気味だ。近年、慶應大は縁故のある単科大学を合併するかたちで薬学部、看護医療学部を相次いで新設。看板の医学部を軸に医療系総合大学の学部構成を築いた。

 一方の早稲田大は既存学部の改編は行ったものの、単なる総合大

学から抜け出せていない。この点では看護学科を併設した在京ナンバー3の私大、上智大にも後れを取っているのではないか。

 今後についても、気になる話は聞かれる。「推薦入試でも、より成績の良い生徒が慶應大を志願する傾向は強まっている」(私立進学校関係者)。関係者によれば、推薦入学を目指す成績最上位層の志願校は、以前は早慶同程度の比率だったが、最近では慶應大の比率が明らかに高いそうだ。

 

 世の中なべて一極集中、一強多弱の時代であり、大学の序列もまたそれを反映しているのかもしれない。ただ慶應大生の保護者の平均収入は早稲田大生のそれを大きく上回るといわれている。この収入の格差がそのまま大学の格差につながっているとすれば、看過できないところだ。

 

 

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